先に答えスウェーデンの後払いの会社 Klarna は、2024 年 2 月、AI の窓口が最初のひと月で問い合わせの 3 分の 2(230 万件)を受け、700 人ぶんの仕事をしたと発表しました。ところが 2025 年 5 月、経営者は、質が下がったと述べ、人による対応に力を入れ直す方針を示しました(Bloomberg の取材を伝える報道)。任せる範囲を決めずに任せると、戻すことになります。
この記事の要点
- 現実AI が問い合わせの 3 分の 2 を受けた、と発表した会社が、1 年あまりで、人を採り直す方針に変えました。
- 意味AI は、量をこなせます。ただ、量をこなせることと、お客さまが満足することは、同じではありません。
- 考え方「AI か、人か」から、「どの問いを AI に、どの問いを人に」へ。
- やること問いを種類で分ける、人に替わる道をいつも見せる、答えを人が定期的に読む。
- 結論AI は、人の前に立つ受付です。人の代わりでは、ありません。
2024 年に、何が発表されたのか。
Klarna は、買い物の後払いのサービスを出している会社です。2024 年 2 月 27 日の発表で、AI の窓口を動かして最初のひと月の結果を、こう伝えました。
| 発表された中身(2024 年 2 月) | 数字 |
|---|---|
| AI が受けたやり取り | 230 万件。問い合わせの 3 分の 2 |
| 仕事の量 | 700 人ぶん |
| 用が済むまでの時間 | 11 分から、2 分未満へ |
| 同じ用件での、問い合わせ直し | 25% 減 |
| お客さまの満足の度合い | 人の担当者と同じ程度 |
| その年の利益の見込み | 4,000 万ドルの改善 |
数字だけを見れば、大きな成功です。
2025 年に、何が起きたのか。
2025 年 5 月、同社の経営者が、Bloomberg の取材に答えた内容が報じられました。伝えられた中身は、こうです。
- AI の窓口は、人より安かったが、質が低かった。AI を中心にした進め方は、正しい道ではなかった。
- これからは、人による対応の質に力を入れる。
- お客さまには、望めばいつでも人が出る、とはっきり伝えることが大事だ。
同じ記事によると、同社は、人の担当者を採り直しています。AI の窓口をどう扱うかは、この記事からは分かりません。
ここから、何を学ぶのか。
ここから先は、私の読みです。
発表された数字(件数、時間、費用)は、どれも、会社の側から見た数字でした。お客さまがどう感じたかは、満足度の一行だけです。量と速さで測ると、AI は勝ちます。測っていない所で、失うものが在りました。
AI と人を、どう分けるのか。
| AI が受ける | 人が受ける |
|---|---|
| 営業時間、場所、値段、手順 | 苦情、返金、事故 |
| 資料に答えが書いてある問い | 資料に無い問い、例外 |
| 営業時間の外の、最初の受け | 契約や金額を決める話 |
| 何度も来る、同じ問い | 相手が困っている、急いでいる話 |
一つめ:人に替わる道を、いつも見せる
AI とのやり取りの画面に、「人に聞く」の道を、いつも出しておきます。隠すと、お客さまは閉じ込められたと感じます。
二つめ:AI であることを、はじめに言う
人のふりをさせません。相手が AI だと分かっていれば、お客さまは聞き方を変えます。
三つめ:答えを、人が読む
週に一度、AI がどう答えたかを、人が読みます。まちがいと、答えられなかった問いが、次に直す所です。
四つめ:減らすのは、人ではなく、くり返し
AI を入れる目的を、人を減らすことに置かないことです。くり返しを AI が受け、空いた時間で、人が込み入った話を聞く。この形が、続きます。
この数字を読むときの注意
- 2024 年の数字は、会社自身の発表です。外の人が確かめたものでは、ありません。
- 2025 年の中身は、取材を伝える記事で読みました。取材そのものは、読んでいません。
- 「AI と人の分け方」は、私の考えです。
よくある質問
- この会社は、AI をやめたのですか。
- 私が読んだ記事が伝えているのは、人を採り直す、という方針です。AI の窓口をやめたとは、書かれていません。
- 小さな商売にも、当てはまりますか。
- 当てはまります。規模が小さいほど、一人のお客さまの不満が、大きく響きます。任せる範囲を、狭く決めて始めます。
- AI の窓口は、すすめないのですか。
- 合う商売には、すすめます。同じ問いが多く、答えが資料に書いてある場合です。そのときも、人に替わる道と、人が読む決まりを、一緒に作ります。
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出どころ
- Klarna「Klarna AI assistant handles two-thirds of customer service chats in its first month」(2024 年 2 月 27 日) https://www.klarna.com/international/press/klarna-ai-assistant-handles-two-thirds-of-customer-service-chats-in-its-first-month/
- Entrepreneur「Klarna CEO Reverses Course By Hiring More Humans, Not AI」(2025 年 5 月 9 日。Bloomberg の取材を伝える記事) https://www.entrepreneur.com/business-news/klarna-ceo-reverses-course-by-hiring-more-humans-not-ai/491396